これまでに手がけた多くの審査現場で経験した事例から考えたこと。
ISO14001の付属書には、この規格に規定されている環境マネジメントシステムを実施することは、結果として環境パフォーマンスが改善されることを狙いとしており、各組織がその環境マネジメントシステムを定期的にレビューし、評価するという前提に基づいていると述べられています。また、ISO14001の継続的改善の定義は、“組織の環境方針と整合して全体的な環境パフォーマンスの改善を達成するために環境マネジメントシステムを向上させる繰り返しのプロセス”と定められています。
そこでマネジメントシステムの構築・実施において継続的改善の視点から考えて、必要な着眼点を次に示しますが、これは審査(監査)の焦点とも関連するものです。
1) 目的・目標について
① | 目的・目標に取上げた課題や到達点、その実施手段が成果の向上に向けて、どの様に変化、改善されているか |
② | 目標達成の実施手段に対する運用は適切か、運用に改善が見られるか、成果はあがっているか |
③ | 是正処置・予防処置が機能しているか。是正処置はその原因を究明し、実施手段の改善・追加等を行っているか。 |
2) 内部監査の有効性について
① | 監査は、トップマネジメント或いは管理責任者の意向に応じて変化しているか |
② | 適合性監査から有効性監査に変化しているか |
③ | 監査員の力量は適切に向上しているか |
④ | 監査目的にあった指摘があるか |
⑤ | 是正処置は原因の究明が出来ており、原因を除去する計画が作られ、適切に実施されているか |
⑥ | フォローアップは適切に実施されているか |
⑦ | トップマネジメントを含め経営層にマネジメントシステムの問題点等を適切に報告しているか |
3) マネジメントレビューについて
① | インプット情報は、トップマネジメントがマネジメントシステムの改善の機会や変更の必要性を判断できるものになっているか |
② | トップマネジメントがマネジメントシステムの適切性、妥当性、有効性をどの様に評価し、アウトプットにそれが反映され、マネジメントシステムの変更に関係する決定と処置に反映されているか |
また、マネジメントシステム規格認証制度の信頼性確保に向けて、有効性審査のあり方が議論され、審査での視点として次が示されています。
① | マネジメントシステムが組織の活動、規模、取り巻く環境などに沿った形で構築され、規定要求事項に適合しているか |
② | マネジメントシステム規格の目的に沿った方針とそれに基づいて作成された目標を一貫して達成できているか |
③ | 期待される結果が実現されているか |
以上より、環境マネジメントシステムを導入、運用されている企業では、“形ばかりのマネジメントシステムでなく、企業の実態にあった仕組みが構築され、企業の方針及び目標の達成に向けてマネジメントシステムが有効に実施され、期待される成果が導き出されているか”という視点からシステムの見直し、改善を行ない、パフォーマンスの向上を図ってゆく必要があると思います。