1.はじめに
ISO39001(道路交通安全(RTS:Road Traffic Safety)マネジメントシステム)は、交通事故による死亡者及び重傷者の減少を目的として作られる国際規格です。
2012年9月現在、FDIS(最終ドラフト(原案))の段階であり、2012年10月には正式に発行される予定です。
※追記:2012年10月1日に正式発行されました。
一部審査機関でのFDISによる審査登録も開始され、交通事故を撲滅したいという企業等組織にとって参考となる規格となっています。
2.ISO39001の背景
2007年6月スウェーデンより、交通事故死者数の削減成功事例(Vision Zero)に基づく「道路交通安全マネジメントシステム」の規格作成がISOに提案され、2008年2月、賛成多数で国際規格化が決定しました。
一方、国連は世界の交通事故死者数が増加し続けることを懸念し、今後10年間で死亡者500万人、重傷者5,000万人の削減目標を掲げ、2010年3月に国連総会において「国連道路交通安全10ヵ年行動計画」が決議され、2011年5月からこの計画が実行されました。この行動計画の中で、道路安全マネジメントシステムの構築にISO39001が推奨されています。
3.ISO39001の内容
ISO39001は『道路交通安全(人・道・車)』に関わるあらゆる組織で採用されることを求めています。例として以下のものが考えられます。
①
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通勤・営業・流通で自動車を使う組織:工場、倉庫、流通、サービス業、銀行等 |
②
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乗客・貨物の運送に関わる組織:トラック輸送、バス、タクシー、レンタカー |
③
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自動車・同部品の設計・製造・保守・検査に関わる組織: 自動車メーカー・部品メーカー、カーナビ関連、整備工場) |
④
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道路の設計・製造・運用・保守に関わる組織:高速道路運営、道路管理会社 |
⑤
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関連法規の制定・規制に関わる組織:国・地方公共団体 |
⑥
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救急救命医療の準備に関わる組織:救急医療機関、病院 |
⑦
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輸送ニーズを生む施設の運営に関わる組織:駅、空港等の駐車場設計・管理会社 |
ISO39001の認証取得のメリットとしては、自動車事故の削減及びこれに伴う自動車保険料の低減、また取引先・顧客からの評価も高まります。
ISO39001の規格の特徴の一つとして、2015年に改定が計画されているISO9001、14001の章構成と同じになるこということです。この章構成をHLS(High Level Structure)といい、今後発行される規格は全てこの章構成となります。
よって、将来ISO9001と14001の統合検討される企業等組織は予備知識として参考となります。
HLSの要求項目の用語は、修正や削除ができない(追加のみ可能)ルールとなっており、表1に示すようにISO39001の要求項目の用語は、HLSほぼ同じ用語となっているのがお分かりかと思います。
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要求項目の解説として、表2に特徴的な要求項目について説明します。
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