〜ISO14001:2004は2018年9月が有効期限です〜
1.改訂版ISO14001の発行期限
2015年7月のISO 14001:2004「環境マネジメントシステム-要求事項及び利用の手引き」の改訂版(案)にあたるFDIS 14001(最終国際規格案)を経て、9月15日にISO 14001:2015が発行され、引き続き、JIS版(日本語版)は11月に発行されました。
それに伴い、改訂版ISO発行後3年以内に改訂新規格に移行する必要があり、移行審査を受けるにあたっては、EMS(環境マネジメントシステム)をISO 14001:2015版に準拠した変更・運用している実績(内部監査、マネジメントレビュー)が必要となります。また、運用開始時には、改めて新EMSの社員教育や内部監査員への教育も必要となります。
2.DIS14001の構成
ISO 14001:2015版は、構成が大きく変わります。 MSS共通テキストを採用して開発されており、箇条4~10からなるPDCA(Plan-Do-Check-Act)で構成されています。
4. 組織の状況 4.1 組織及びその状況の理解 4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解 4.3 環境マネジメントシステム適応範囲の決定 4.4 環境マネジメントシステム |
5. リーダーシップ 5.1 リーダーシップ及びコミットメント 5.2 環境方針 5.3 組織の役割、責任及び権限 |
6. 計画 6.1 リスク及び機会への取り組み 6.2 環境目標及びそれを達成するための計画策定 |
7. 支援 7.1 資源 7.2 力量 7.3 認識 7.4 コミュニケーション 7.5 文書化した情報 |
8. 運用 8.1 運用計画及び管理 8.2 緊急事態への準備及び対応 |
9. パフォーマンス評価 9.1 監視、測定、分析及び評価 9.2 内部監査 9.3 マネジメントレビュー |
10. 改善 10.2 不適合及び是正処置 10.3 継続的改善 |
3.ISO14001:2015の主な改訂内容
ISO14001:2015の主な改訂内容は、現行のISO 14001の基本的な取組みを活かしながら、他のISOマネジメントシステムの規格構成の共通化と共に、要求事項が強化・明確化されているのが特徴です。
今回の改訂は、一見大きな変更は無いように見受けられますが、①HLS②リスク及び機会への取組み、③ライフサイクルを思考した環境側面・環境影響の特定及び運用管理等、新たに追加、強化される要求事項に対応するには、組織には相当な負荷がかかると推測されます。
章 | (条項番号)改訂ポイント | ISO14001:2004からの変更 | |||
新規 | 強化 | 削除 | |||
4.組織の状況 | (4.1)組織及びその状況の理解:組織の外部/内部の課題 | ◯ | |||
(4.2)利害関係者のニーズ及び期待の理解 | ◯ | ||||
5. リーダーシップ | (5.1)EMS有効性に対する説明責任、戦略的な方向性及び組織の状況の料率、事業プロセスの統合 | ◯ | |||
(5.2)環境方針:環境保護に関するコミットメント | ◯ | ||||
6.計画 | (6.1)リスク及び機会に関連するプロセスを確立、実施、維持 | ◯ | |||
(6.1.2)ライフサイクルの視点を考慮した環境側面及び環境影響の特定 | ◯ | ||||
(6.1.4)著しい環境側面、順守義務、特定したリスク及び機会のための計画 | ◯ | ||||
(6.2.2)環境目標達成のための活動の組織の事業プロセスへ統合を検討 | |||||
7.支援 | (7.4.2) 内部コミュニケーションの管理 | ◯ | |||
(7.5) 文書化した情報:(“文書”“記録”の区別をなくし表現が統一された) | ◯ | ||||
8.運用 | (8.1) 運用の計画及び管理:ライフサイクルの視点に従った管理 | ◯ | |||
9.パフォーマンス評価 | (9.1) 監視、測定、及び評価の対象、基準、時期を決定 | ◯ | |||
(9.3) マネジメントレビュー:EMSに関連する外部及び内部の課題、有効なEMS維持のための必要な資源の妥当性、他の考慮 | ◯ | ||||
10.改善 | (10.3) 環境パフォーマンスの向上のために、EMSの適切性、妥当性及び有効性を継続的に改善する | ◯ | |||
(-) 予防処置はなくなる。ただし、「6.1項」で同様の取組みが要求。 | ◯ |
4.推奨する改訂対応
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環境マニュアルをISO 14001:2015版に合わせて全面的に改訂する。
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現実に即し、活用しやすいように、業務プロセスの規定や手順を改訂する。
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ISO 14001:2015版に適合したEMSを運用して、内部監査、マネジメントレビューを実施する。
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経営と一体となった有効的なマネジメントシステムを構築し、成果が出るように運用する。
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シンプル化、ISO 9001(品質)等の他のマネジメントシステムとの一元化も視野に入れて見直しする。